こーんなに全身で愛を表現してるっていうのに。
臆病な君は認めてくれないんだね。
ちょっとさみしいなぁ。
キーンコーンカーンコーン。
授業の終わり、昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴って、古典の担当教師が手に持っていた教科書をぱたんと閉じた。
それじゃ、今日はここまでにしましょう、という声に反応して、週番が起立、と号令をかける。
いつも通り授業のほとんどを惰眠に費やしたオレだったけれど、いつも通りチャイム5分前にはばっちり眼が冴えて、なんとなく教師の朗読という呪文を聞いていた。 もちろん、頭には一切入っていない。 つか、教科書のあれは日本語じゃないだろ、ゲンミツに。 日本語みたく50音で書いてあるから、日本語だと思ってしまうけれど、ありゃその分英語よりもたちが悪い。
( よくこんなの理解できるよな、みんな )
古典なんて分かんなくても、今をしっかり生きてるからオレ全然問題ないわ。
そういう結論に達したところでチャイムが鳴ったのだ。
機械的に机の横に立って、ありがとうございましたって言って。 おざなりに礼すると、オレはカバンの中から急いで自分の弁当取り出して、後ろを振り向く。 見ると泉と三橋が、自分のカバンの中から弁当を出そうとしているところだった。 その姿を目にとめて、逸る気持ちそのままにオレは三橋たちの所へ駆けて行く。
「うぉーい、みっはしぃー、弁当食おうぜーーーーー」
「うっ、おっ、った」
弁当を揺らさないように、それでも少し体重をかけて三橋にタックルすると、三橋はびくっと驚きながらもそのままオレを受け止める。 受け止めるっていうか、されるがままになってるって感じだけどな。
でも、オレはそんな三橋が嫌いじゃない。
少し体重かけてもちゃんとふんばって、無意識にオレを支えようとする三橋。
まあ、倒れんのが嫌だからだろうけれど。
支えてくれるっていう事実にオレは満足しているのだ。
「田島ぁ、あぶねぇっつってんだろっ」
ぐいっと後ろに引っ張られたかと思うと、至近距離での怒鳴り声。
「わーってるよー、だから体重ちょっとしかかけてねーじゃん」
腕を掴まれたまま後ろを向くと、声をそのまま顔に出したような泉の渋面が目に入る。
思いっきり不機嫌そうだ。
まあたぶん、「お前が乗っかったら三橋潰れんだろうがっていっつも言ってんだろ!!」って思ってんだろうなー。 それなりに一緒にいるから、何考えてんのかぐらいはもう表情でなんとなくわかるようになっちまった。
特に三橋絡みの時は。
ちぇー、オレだってエース怪我させるようなことしねーっつーの! その辺ちゃんと考えて乗っかってんだ! 口には出さないけれど、とりあえず不服だという顔に自然となる。
もうちょっと信用しろよなー。
そのまま3秒ほどお互い睨みあいっこ。
オレが泉の考えてることが分かるように、きっと泉もオレの考えてることわかってんだろうなー。 オレが毎回毎回三橋にタックルしたり、抱きついたりする意味も。 オレだって泉が三橋に抱きついたオレをはがそうとしたり、オレを窘めることの意味ぐらいわかってる。
わかってっから、やってんだよ。 ってそれすらも泉はわかってるか。
その証拠にほら、にらみ合ってた泉ははぁと大きくため息をついてオレを開放する。
そんで、
「とにかくあぶねぇから気をつけろ!……んで飯にすっぞ」
とこめかみに手やりながら自分の席に着くんだ。
オレも三橋もその周りの奴の席を借りて席に着く。
遅れて、なんだぁおい、また田島やったのか、と浜田が苦笑いしながら来て、いつもの昼休みの始まりだ。
その間三橋はずーっとキョドキョドと視線をオレらに彷徨わせて。 オレらが何でもねーよっつって、ぼっさぼっさの頭をくしゃっとなでると、うひっと笑んで飯に集中する。 そんでそれを見たオレらは、視線を合わせて、しょーがねーなって顔をし合うんだ。
全くオレらのことなんて眼中にないみたい。 三橋の今の頭の中は弁当でいっぱいだ。
オレら結構あからさまだと思うんだけど。 かなりあからさまに三橋のこと大事にしてるし、かなりあからさまに三橋にすきだすきだ言ってっし。 ちょー鈍い三橋は全然これぽっちも何にも思わないのか。 ちょっと面白くないけれど、まあ、今はそれでもいいか。
三橋は全然嫌がってないみてーだし。
むしろ、抱きつかれたり、かまわれたりするとめちゃくちゃうれしそうだ。 それを知ってるから、オレは三橋に抱きつくのを止めないし、泉はオレを諌めはしても無理にやめさせようとしない。 うざいと思われない程度に三橋へおせっかいを焼く。
それを嫌がんないのは、三橋が人間関係に飢えてた証拠なんだろう。
いつか思いっきり抱きついたら、オレの背中に腕回してくるような、そんな関係になってやんだから。
まあ、そう思ってんのは、どうやらオレだけじゃねぇみてーだけどな。
臆病な君は認めてくれないんだね。
ちょっとさみしいなぁ。
キーンコーンカーンコーン。
授業の終わり、昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴って、古典の担当教師が手に持っていた教科書をぱたんと閉じた。
それじゃ、今日はここまでにしましょう、という声に反応して、週番が起立、と号令をかける。
いつも通り授業のほとんどを惰眠に費やしたオレだったけれど、いつも通りチャイム5分前にはばっちり眼が冴えて、なんとなく教師の朗読という呪文を聞いていた。 もちろん、頭には一切入っていない。 つか、教科書のあれは日本語じゃないだろ、ゲンミツに。 日本語みたく50音で書いてあるから、日本語だと思ってしまうけれど、ありゃその分英語よりもたちが悪い。
( よくこんなの理解できるよな、みんな )
古典なんて分かんなくても、今をしっかり生きてるからオレ全然問題ないわ。
そういう結論に達したところでチャイムが鳴ったのだ。
機械的に机の横に立って、ありがとうございましたって言って。 おざなりに礼すると、オレはカバンの中から急いで自分の弁当取り出して、後ろを振り向く。 見ると泉と三橋が、自分のカバンの中から弁当を出そうとしているところだった。 その姿を目にとめて、逸る気持ちそのままにオレは三橋たちの所へ駆けて行く。
「うぉーい、みっはしぃー、弁当食おうぜーーーーー」
「うっ、おっ、った」
弁当を揺らさないように、それでも少し体重をかけて三橋にタックルすると、三橋はびくっと驚きながらもそのままオレを受け止める。 受け止めるっていうか、されるがままになってるって感じだけどな。
でも、オレはそんな三橋が嫌いじゃない。
少し体重かけてもちゃんとふんばって、無意識にオレを支えようとする三橋。
まあ、倒れんのが嫌だからだろうけれど。
支えてくれるっていう事実にオレは満足しているのだ。
「田島ぁ、あぶねぇっつってんだろっ」
ぐいっと後ろに引っ張られたかと思うと、至近距離での怒鳴り声。
「わーってるよー、だから体重ちょっとしかかけてねーじゃん」
腕を掴まれたまま後ろを向くと、声をそのまま顔に出したような泉の渋面が目に入る。
思いっきり不機嫌そうだ。
まあたぶん、「お前が乗っかったら三橋潰れんだろうがっていっつも言ってんだろ!!」って思ってんだろうなー。 それなりに一緒にいるから、何考えてんのかぐらいはもう表情でなんとなくわかるようになっちまった。
特に三橋絡みの時は。
ちぇー、オレだってエース怪我させるようなことしねーっつーの! その辺ちゃんと考えて乗っかってんだ! 口には出さないけれど、とりあえず不服だという顔に自然となる。
もうちょっと信用しろよなー。
そのまま3秒ほどお互い睨みあいっこ。
オレが泉の考えてることが分かるように、きっと泉もオレの考えてることわかってんだろうなー。 オレが毎回毎回三橋にタックルしたり、抱きついたりする意味も。 オレだって泉が三橋に抱きついたオレをはがそうとしたり、オレを窘めることの意味ぐらいわかってる。
わかってっから、やってんだよ。 ってそれすらも泉はわかってるか。
その証拠にほら、にらみ合ってた泉ははぁと大きくため息をついてオレを開放する。
そんで、
「とにかくあぶねぇから気をつけろ!……んで飯にすっぞ」
とこめかみに手やりながら自分の席に着くんだ。
オレも三橋もその周りの奴の席を借りて席に着く。
遅れて、なんだぁおい、また田島やったのか、と浜田が苦笑いしながら来て、いつもの昼休みの始まりだ。
その間三橋はずーっとキョドキョドと視線をオレらに彷徨わせて。 オレらが何でもねーよっつって、ぼっさぼっさの頭をくしゃっとなでると、うひっと笑んで飯に集中する。 そんでそれを見たオレらは、視線を合わせて、しょーがねーなって顔をし合うんだ。
全くオレらのことなんて眼中にないみたい。 三橋の今の頭の中は弁当でいっぱいだ。
オレら結構あからさまだと思うんだけど。 かなりあからさまに三橋のこと大事にしてるし、かなりあからさまに三橋にすきだすきだ言ってっし。 ちょー鈍い三橋は全然これぽっちも何にも思わないのか。 ちょっと面白くないけれど、まあ、今はそれでもいいか。
三橋は全然嫌がってないみてーだし。
むしろ、抱きつかれたり、かまわれたりするとめちゃくちゃうれしそうだ。 それを知ってるから、オレは三橋に抱きつくのを止めないし、泉はオレを諌めはしても無理にやめさせようとしない。 うざいと思われない程度に三橋へおせっかいを焼く。
それを嫌がんないのは、三橋が人間関係に飢えてた証拠なんだろう。
いつか思いっきり抱きついたら、オレの背中に腕回してくるような、そんな関係になってやんだから。
まあ、そう思ってんのは、どうやらオレだけじゃねぇみてーだけどな。
結構みんなライバル
2008/11/4 composed by Hal Harumiya
はちみつトースト / こんなにあからさまなのに2008/11/4 composed by Hal Harumiya