時には昔の話を

時は16世紀


ガクッ

(もうだめ……このままトルコに併合されちゃうのかな…私……)

「何を諦めているのです?すぐにお立ちなさい」
「(だ、誰?すごくかっこいいけど……)ど、どなたですか?」
「相手に名乗らせる前にまず自分から名乗りなさい」
「(ひっ!こ、怖…)は、はい!私はハンガリーといいます」
「知っています」
「(じゃあ名乗らせんな!!)あ、あなたは……?」
「私はオーストリアといいます。さて、あなたはこれからどうするのですか?」
「……っ見て分かりませんか?私は戦争に負けたんです。きっとこのままトルコの領土に…」
「それはなりません」
「……っじゃあどうしろっていうの?味方をしてくれる国なんてないのに」


「……私が手を貸しましょう」


(え!?)

「い、いきなりなにを……」
「私があなたの味方をすると言っているんです」
「じ、冗談でしょ?明らかにこちら側が不利なのに、それでも味方するなんて」

(正気とは思えない)

「それでも、今トルコにヨーロッパへ攻め込まれるわけには行きません」
「……だ、だからわたしの味方をする、というわけですか」
「そうです」

(ズキッ)(な、なに?なんでこんなに傷ついてるの私)

「……わかりました。私もトルコの領土にはなりたくありませんから。あなたの力を借ります」
「ありがとうございます。それではさっそくですが、あなた私の領土になりなさい」

(はあああああ!?)

「な、なんっ!?は、話が違うじゃないっ!!」
「おや、私は自分の領土の話は一切していませんよ?あなたが勝手に勘違いしただけでしょう?」

(ぐっ……た、確かにそんな話はしてないけど……でもっ)

「そ、そんなのずるいわっ!」
「なんとでも。それよりどうするんです?おとなしくわたしの領土になるか、それともトルコに降伏するか」

(どっちも正直嫌だけど、ここは我慢するしかない……耐えるのよ、ハンガリー!)

「わ…わかりました。オーストリアさんの領土になります」
「いいでしょう。素直でよろしい。それでは帰りましょうか」
「ち、ちょっと待ってください!帰るってどこへ……?」
「あれ?言いませんでしたか?あなたにはこれからうちのメイドとして働いてもらいます。…家事とかはできますか?」
「(言ってねぇ!)あ、あの……」
「なんでしょうか?取り消すならあなたは今からトルコに降伏」「やらせていただきます」
「ありがとう。わかってくれると思ってましたよ」

(鬼…!この人鬼だわ…)

「さぁ、では我が家に帰りましょうか。私の背中に乗りなさい」
「え……?」
「足、痛むんでしょう?それじゃ歩けないでしょうから私がおぶります」
「えっ!い、いいえ、私こんなの全然平気です!」
「いいから、大人しく私の言う通りにしなさい。それ以上ひどくなってしまいますよ」

(うー…どうしてわかったの?私が足けがしてるって)

「そんな泣きそうな顔しているからですよ」
「よ、読まないでください!」
「ふっ…ははっ!ああ、すみません。素直ですね、あなたは」

(ドキッ!)(笑った……!)

「オーストリアさん」
「なんですか?」
「ずっとそうやって笑っていた方が素敵ですよ?」
「な!?なななにを……」

(今度は赤くなった……!か、可愛いこの人!)

「まったく……年上をからかうものではありませんよ」

(オーストリアさんまだ赤い……なーんだ、全然怖くないや。むしろ……)

「可愛い……」
「なにか言いましたか?」
「いーえ!なんにもー……ふふふ」
「どうかしましたか?いきなり笑い始めて」
「なんでもないでーす。オーストリアさん、早く私たちの家に帰りましょうよ」
「まったく……そうですね、帰りましょうか」




ていう感じのビビットな出会い希望
……墺洪はもう夫婦でいいよ
2007/05/06 composed by Hal Harumiya