偶然町でハンガリーを見かけた。
噴水の前であいつはぼうっと突っ立っている。
(お、珍しい……一人か?)
あいつが一人でいるなんて珍しい。
認めるのは癪だが、あいつに偶然会えたことで気分がよくなっている自分に気づいた。
(暇そうにしてんな、アホ面でもからかってやろうか)
そう思って声をかけようとした。
「おい、ハン……」
けれど。
「すみません、待たせてしまって」
そう言って駆け寄る男。
あいつ御自慢のマリアツェルが珍しくしなっとくたびれていて。
遠目からでも出来るだけ急いできたんだろうな、ということがわかった。
声をかけようとして挙げた手が行き場を失って脇にだらりと垂れた。
マリアツェルが乱れていることにハンガリーも気づいたのだろう。
それに触れて、そんなに焦らなくてもよかったんですよ、とか言ってくすくす笑っている。
走ってきてくれてうれしいと言っているようなものだ。
その笑顔にはオーストリアさんがだいすきです、とはっきり書いてあった。
あんな顔俺は一回も見たことがない。
ズキッと胸が痛んだ。
どうしてお前を笑顔にさせるのが俺じゃないんだ?
どうしてあの笑顔を俺に見せてくれないんだ?
俺に見せるのは怒った顔か、泣いている顔か、意地の悪い笑みばかりで。
あんな満面の笑みなんか、今見なければもしかしたら一生見れなかったかもしれない。
どうして?どうして?
こんなに、すきなのに。
どうして俺の気持ちはあいつに届かないんだろう?
こんなにすきなのに。
オーストリアにだって負けないくらいあいつのことを想っているのに。
どうしてその笑顔には届かない?
苦しくて、息が詰まる。
「っ!」
心臓をわし掴みにされたような痛みが俺を襲った。
これ以上俺じゃない男の隣で笑っているあいつを想い続けることが出来るだろうか。
俺のことをすきになってくれるやつだけをすきになれたら、どんなに楽だろう。
見てられなくて、胸が痛くて俺はその場から逃げるようにして家に帰ってきた。
上司が呼び止めるのも聞かず、部屋に逃げ込んだ。
ベッドに横になって、忘れよう眠ろうと試みたけれど失敗に終わった。
(どこかにあいつと同じ性格の同じ顔のやつがいないだろうか)
そんなくだらないことを考えてすぐに打ち消した。
それでも、そいつは「ハンガリー」ではないのだ。
俺のすきなハンガリーは一人しかいない。
そして、そいつは俺のものになることは、ない。
(あーやめやめ!!他に男がいる女なんか興味ねーよ!あんな暴力女こっちから願い下げだっ!!)
諦めようとして、あいつのいやなところを全部挙げてみた。
悪口も言ってみた。
キライになるようになんでもやった。
でも、ふとした瞬間に声が聞きたくなって。
(うっさいわよプロイセン!!)
記憶の中の声を何度も反芻して。
結局ますますすきになっているのだ。
(どうすればいいんだ……?だれか、教えてくれよ)
この不毛な恋に決着を。
本当に、俺のことをすきになってくれるやつだけをすきになれたら、どんなに楽だろう。
噴水の前であいつはぼうっと突っ立っている。
(お、珍しい……一人か?)
あいつが一人でいるなんて珍しい。
認めるのは癪だが、あいつに偶然会えたことで気分がよくなっている自分に気づいた。
(暇そうにしてんな、アホ面でもからかってやろうか)
そう思って声をかけようとした。
「おい、ハン……」
けれど。
「すみません、待たせてしまって」
そう言って駆け寄る男。
あいつ御自慢のマリアツェルが珍しくしなっとくたびれていて。
遠目からでも出来るだけ急いできたんだろうな、ということがわかった。
声をかけようとして挙げた手が行き場を失って脇にだらりと垂れた。
マリアツェルが乱れていることにハンガリーも気づいたのだろう。
それに触れて、そんなに焦らなくてもよかったんですよ、とか言ってくすくす笑っている。
走ってきてくれてうれしいと言っているようなものだ。
その笑顔にはオーストリアさんがだいすきです、とはっきり書いてあった。
あんな顔俺は一回も見たことがない。
ズキッと胸が痛んだ。
どうしてお前を笑顔にさせるのが俺じゃないんだ?
どうしてあの笑顔を俺に見せてくれないんだ?
俺に見せるのは怒った顔か、泣いている顔か、意地の悪い笑みばかりで。
あんな満面の笑みなんか、今見なければもしかしたら一生見れなかったかもしれない。
どうして?どうして?
こんなに、すきなのに。
どうして俺の気持ちはあいつに届かないんだろう?
こんなにすきなのに。
オーストリアにだって負けないくらいあいつのことを想っているのに。
どうしてその笑顔には届かない?
苦しくて、息が詰まる。
「っ!」
心臓をわし掴みにされたような痛みが俺を襲った。
これ以上俺じゃない男の隣で笑っているあいつを想い続けることが出来るだろうか。
俺のことをすきになってくれるやつだけをすきになれたら、どんなに楽だろう。
見てられなくて、胸が痛くて俺はその場から逃げるようにして家に帰ってきた。
上司が呼び止めるのも聞かず、部屋に逃げ込んだ。
ベッドに横になって、忘れよう眠ろうと試みたけれど失敗に終わった。
(どこかにあいつと同じ性格の同じ顔のやつがいないだろうか)
そんなくだらないことを考えてすぐに打ち消した。
それでも、そいつは「ハンガリー」ではないのだ。
俺のすきなハンガリーは一人しかいない。
そして、そいつは俺のものになることは、ない。
(あーやめやめ!!他に男がいる女なんか興味ねーよ!あんな暴力女こっちから願い下げだっ!!)
諦めようとして、あいつのいやなところを全部挙げてみた。
悪口も言ってみた。
キライになるようになんでもやった。
でも、ふとした瞬間に声が聞きたくなって。
(うっさいわよプロイセン!!)
記憶の中の声を何度も反芻して。
結局ますますすきになっているのだ。
(どうすればいいんだ……?だれか、教えてくれよ)
この不毛な恋に決着を。
本当に、俺のことをすきになってくれるやつだけをすきになれたら、どんなに楽だろう。
奥/華/子の「恋」という曲が男女逆転させればまんま洪←普ですごくおすすめ
2007/06/05 composed by Hal Harumiya
2007/06/05 composed by Hal Harumiya