※高校生パラレル 日本もイギリスも国ですが正体を隠して高校に通っているという設定
不意にガラッと教室のドアが開く音がして、担任が入ってきた。
とたんにさっきまでうるさかった教室が嘘のように静まり返って、みんな席につく。
「はーい!みなさんおはようございます!」
先生がそう言い、みんな口々におはようございます!と返した。
「今日は皆さんに嬉しいお知らせがあります。今日から2週間、ウチのクラスに新しい仲間が加わることになりました」
とたんにざわつく教室。
転校生が来たのだ。
「せんせーい!どんな子?」
「男ですか?女ですか?」
「何で2週間だけしかいないのー?」
口々に飛ぶ質問に、先生はまあまあ、とジャスチャーしながら答えた。
「それじゃあ、本人に会ってみたほうが早いわね。カークランドくん、入って」
先生がそう言うと、前のドアからゆっくり人が入ってきた。
息を呑む音や、うわーきれー金髪だ!とか、何人なの?とか言うひそひそ声が聞こえてくる。
そう、どう見ても入ってきた彼は日本人ではない。
何の気なしに彼を見ていた私は不意に彼と目が合った。
その瞬間、わかった。
彼も私と同じだ。
彼もまた「人間」ではない。
しばらく私たちは見つめ合っていた。
彼も私が同じものだと気づいたようで、ふっと口の端を緩めた。
その笑みはが高校生なんか普段はしない大人の笑みだった。
「はい、みんな聞いて。カークランドくんはイギリスから日本の文化を学ぶために特別に来たのね。だから残念ですが2週間経ったらイギリスに帰ってしまいます。でも、それまではみなさんと同じ勉強をします。ですからっ!仲良くしましょうね」
先生がそう説明すると、クラス中がはーい!と元気よく返事をした。
先生が説明している間彼は特に何の表情も浮かべず、黒板の前に立っていた。
クラスの人たちはみんなこの外国からの転校生に興味津々で、彼の一挙手一投足を見逃すまいとしているかのように一心不乱に視線を送っていた。
「はい、それじゃカークランドくんから自己紹介してもらいましょうね。カークランドくんそれじゃ、お願いできるかしら」
先生がそう促すと、彼は日本語で挨拶をした。
「アーサー・カークランドです。日本に来たのは初めてで少し緊張していますが、早く皆さんと仲良くなりたいです。よろしくお願いします」
うそだ。
私は直感でそう悟った。
この人は心にも無いことを言っている。
表面的にはやわらかく微笑んでいるが、腹の底では何を考えているか分からない笑みだった。
しかし、辺りを見回してもそのことに気づいている人は誰もおらず(先生さえも気づいていなかった)、みんな口々によろしくーだの仲良くしようだの好意的なことを言っていた。
どうやらこの転校生はやってきてものの数分でクラス中を味方につけたようだった。
「はい!それじゃ、紹介はこの辺にして、カークランドくんの席を決めましょう……そうねぇ、後ろの……本田くんの隣はどうかしら?」
え?
いきなり名前を呼ばれて先生に視線を向けると、にっこりと笑っていて。
周りの視線が一気にこっちに集まった。
「あの席でいいですか?先生」
静かな声が響いた。
「ええ……じゃあカークランドくんは本田くんの隣が席よ。本田くん、とりあえず今日はカークランドくんに教科書を見せてあげてね」
先生がそう言うと、彼は促されるようにこちらに向かってきた。
クラス中の視線が集まる中、彼は私の隣に来て、そして座った。
「はい。それじゃ、今日の朝のホームルームはこれで終わりにします。」
先生がそう言うと、日直があいさつをして、朝のHRは終わった。
隣に視線をやると、なぜだか彼はこっちを見ていて。
私だけに聞こえる声で、
「お前も俺と同じだろ?これからよろしくな」
と言って笑った。
さっきと同じ口の端を少し緩めるだけの子供らしくない笑み。
やっぱり気づいていたのか。
「あなたもそうなんですね。イギリスさん」
そう言うと、彼はますます笑みを深くして。
「ああ。だがこのことは誰にも内緒だぞ、日本?」
ま、誰も信じるわけないがな。
そうつぶやいて、視線を私からそらした。
「アーサーさん、いえ、イギリスさん、貴方はこの日本へ何をしに?」
一番疑問に思っていたことを口にした。
貴方自らがわざわざ出向いてまで何の用が?
何かたくらんでいるのではないだろうか。
そう尋ねると、彼はもう一度視線をこちらに向けた。
その瞳にはなにかおもしろがっている光があった。
そして。
「お前と仲良くなりにきたって言ったら、どうする?」
は?
一瞬の間。
「なななななにを!!」
熱くなっていく頬を押さえながら、私は思わず叫んだ。
「嘘だよ嘘。普通に日本文化勉強しに来たに決まってんだろ」
あ、嘘。
なんだ嘘か。
「お、驚かせないで下さい!!」
そう言うと、イギリスさんはふっと笑って顔を背けた。
不意に。
背けたときに見えた耳が真っ赤に染まっていたのが見えて。
(まさか……本気だった…とか?)
そっぽを向いてしまっているから真相は見えない。
本当に仲良くなりに来たのなら、正直にそう言えばいいのに。
そう思ったら。
この天邪鬼な転校生をなんとなく可愛いと思っている自分に気がついた。
なんだかこれから2週間が急に楽しみになってきた。
「イギ……アーサーさん、これから2週間よろしくお願いしますね。私、本田菊と申します」
そう言って、彼の前に手を差し出した。
彼は、こっちを向くことなく私の手をとって、
「アーサー・カークランドだ」
とだけ言った。
そう告げた彼の耳は、やっぱり真っ赤だった。
そう、これが私たちの出会い。
このとき私は彼と出会った。
不意にガラッと教室のドアが開く音がして、担任が入ってきた。
とたんにさっきまでうるさかった教室が嘘のように静まり返って、みんな席につく。
「はーい!みなさんおはようございます!」
先生がそう言い、みんな口々におはようございます!と返した。
「今日は皆さんに嬉しいお知らせがあります。今日から2週間、ウチのクラスに新しい仲間が加わることになりました」
とたんにざわつく教室。
転校生が来たのだ。
「せんせーい!どんな子?」
「男ですか?女ですか?」
「何で2週間だけしかいないのー?」
口々に飛ぶ質問に、先生はまあまあ、とジャスチャーしながら答えた。
「それじゃあ、本人に会ってみたほうが早いわね。カークランドくん、入って」
先生がそう言うと、前のドアからゆっくり人が入ってきた。
息を呑む音や、うわーきれー金髪だ!とか、何人なの?とか言うひそひそ声が聞こえてくる。
そう、どう見ても入ってきた彼は日本人ではない。
何の気なしに彼を見ていた私は不意に彼と目が合った。
その瞬間、わかった。
彼も私と同じだ。
彼もまた「人間」ではない。
しばらく私たちは見つめ合っていた。
彼も私が同じものだと気づいたようで、ふっと口の端を緩めた。
その笑みはが高校生なんか普段はしない大人の笑みだった。
「はい、みんな聞いて。カークランドくんはイギリスから日本の文化を学ぶために特別に来たのね。だから残念ですが2週間経ったらイギリスに帰ってしまいます。でも、それまではみなさんと同じ勉強をします。ですからっ!仲良くしましょうね」
先生がそう説明すると、クラス中がはーい!と元気よく返事をした。
先生が説明している間彼は特に何の表情も浮かべず、黒板の前に立っていた。
クラスの人たちはみんなこの外国からの転校生に興味津々で、彼の一挙手一投足を見逃すまいとしているかのように一心不乱に視線を送っていた。
「はい、それじゃカークランドくんから自己紹介してもらいましょうね。カークランドくんそれじゃ、お願いできるかしら」
先生がそう促すと、彼は日本語で挨拶をした。
「アーサー・カークランドです。日本に来たのは初めてで少し緊張していますが、早く皆さんと仲良くなりたいです。よろしくお願いします」
うそだ。
私は直感でそう悟った。
この人は心にも無いことを言っている。
表面的にはやわらかく微笑んでいるが、腹の底では何を考えているか分からない笑みだった。
しかし、辺りを見回してもそのことに気づいている人は誰もおらず(先生さえも気づいていなかった)、みんな口々によろしくーだの仲良くしようだの好意的なことを言っていた。
どうやらこの転校生はやってきてものの数分でクラス中を味方につけたようだった。
「はい!それじゃ、紹介はこの辺にして、カークランドくんの席を決めましょう……そうねぇ、後ろの……本田くんの隣はどうかしら?」
え?
いきなり名前を呼ばれて先生に視線を向けると、にっこりと笑っていて。
周りの視線が一気にこっちに集まった。
「あの席でいいですか?先生」
静かな声が響いた。
「ええ……じゃあカークランドくんは本田くんの隣が席よ。本田くん、とりあえず今日はカークランドくんに教科書を見せてあげてね」
先生がそう言うと、彼は促されるようにこちらに向かってきた。
クラス中の視線が集まる中、彼は私の隣に来て、そして座った。
「はい。それじゃ、今日の朝のホームルームはこれで終わりにします。」
先生がそう言うと、日直があいさつをして、朝のHRは終わった。
隣に視線をやると、なぜだか彼はこっちを見ていて。
私だけに聞こえる声で、
「お前も俺と同じだろ?これからよろしくな」
と言って笑った。
さっきと同じ口の端を少し緩めるだけの子供らしくない笑み。
やっぱり気づいていたのか。
「あなたもそうなんですね。イギリスさん」
そう言うと、彼はますます笑みを深くして。
「ああ。だがこのことは誰にも内緒だぞ、日本?」
ま、誰も信じるわけないがな。
そうつぶやいて、視線を私からそらした。
「アーサーさん、いえ、イギリスさん、貴方はこの日本へ何をしに?」
一番疑問に思っていたことを口にした。
貴方自らがわざわざ出向いてまで何の用が?
何かたくらんでいるのではないだろうか。
そう尋ねると、彼はもう一度視線をこちらに向けた。
その瞳にはなにかおもしろがっている光があった。
そして。
「お前と仲良くなりにきたって言ったら、どうする?」
は?
一瞬の間。
「なななななにを!!」
熱くなっていく頬を押さえながら、私は思わず叫んだ。
「嘘だよ嘘。普通に日本文化勉強しに来たに決まってんだろ」
あ、嘘。
なんだ嘘か。
「お、驚かせないで下さい!!」
そう言うと、イギリスさんはふっと笑って顔を背けた。
不意に。
背けたときに見えた耳が真っ赤に染まっていたのが見えて。
(まさか……本気だった…とか?)
そっぽを向いてしまっているから真相は見えない。
本当に仲良くなりに来たのなら、正直にそう言えばいいのに。
そう思ったら。
この天邪鬼な転校生をなんとなく可愛いと思っている自分に気がついた。
なんだかこれから2週間が急に楽しみになってきた。
「イギ……アーサーさん、これから2週間よろしくお願いしますね。私、本田菊と申します」
そう言って、彼の前に手を差し出した。
彼は、こっちを向くことなく私の手をとって、
「アーサー・カークランドだ」
とだけ言った。
そう告げた彼の耳は、やっぱり真っ赤だった。
そう、これが私たちの出会い。
このとき私は彼と出会った。
ただ名前を使いたかったっていうのがバレバレでごめんなさい
2005/06/07 composed by Hal Harumiya
2005/06/07 composed by Hal Harumiya