べんのぞ

「危ない!」
「!…やっ…はは…ご、ごめんなさいぃー」

ふらふらと僕の腕に倒れこみながら君が謝る。
異常に高い体温が着物越しでも分かる。
無理のしすぎが祟ったのだろう。
慣れない土地で、慣れない格好で、慣れない物を振って。

「謝る必要はありません。少し早いですが今日の宿を探しましょう」
「!…っダメです。…遅れちゃう……」

それでも、がんばる君は決して僕の進言に頷こうとはしない。

「わたし…まだ……がんばれ、ます、よ?」

それどころか。
厳格なほど、真面目で。
迷惑にならないよう気を張っていて。

「…そんなにがんばらなくても…いいんですよ?」

思わずそう言ってしまうほどに。
守られてくれない、君。
君は首を横に振って。

「よくないです。わたしが…がんばらなきゃ…みんなを…」

守らなきゃ、と。

でも、僕は君を守りたいんだ。
無理なんてさせないよう、君に降りかかる全ての困難から、君を。
守られてくれないから、なおさら願う。

「君が……心配なんです…分かってくれますね?」




やっぱり病気ネタはべんけいの独壇場だと