まさのぞ

―中学3年生の夏の会話―




「将臣くんは頭がいい」

はぁ?お前、いきなり何言い出してんだよ。

「だって本当に思うもの。この間の数学のテストだってわたしより点数よかったし」

あんなの、コツさえ覚えりゃ誰でもできんだろ。

「はぁ?じゃあそのコツとやらを御教授賜りたいものです!!」

おいおい、怒んなよ。……勉強なんざできなくても生活に支障ねぇだろ。

「そんなことない!!……勉強できなきゃだめだもん!!」

はぁ?本当にどうした?前はそんなに勉強勉強言わなかっただろうがよ?

「……っいろいろ事情があるの!!!」

ほ〜、事情ねぇ……すきな男でもできたか?

「なっ!!!!ちち、違います〜〜〜!!ちょっとニヤニヤしないでよ!」

ムキになるところが怪しいんだよな……俺の知ってるやつか?

「だから違うって言ってるでしょ!?」

はいはい、わかったわかった。……で?

「で?って何よ!?もういい!譲くんに勉強見てもらうもん!」

…お前年下のやつに勉強見てもらう気かよ……。

「少なくとも将臣くんよりはマシです〜!……せっかく………と思ったのに」

は?最後のほう、声ちっさくて聞こえねぇ。なんだって?

「!!〜〜〜っ、もう!せっかく将臣くんとおんなじ高校行きたいって思ったのに、って言ったの!!」

……は?

「!!!!……もう知らない!じゃあねっ!」

……なんだよ、アイツ。……この分じゃなんも知らねぇんじゃねぇか?



俺がアイツの母さんに聞いて受験校を一緒にしたこと。

「……まあ、知らなくてもいいことだけどな」

一緒にいたいのは、俺だって同じ、だ。




まさのぞは過去話を書きたくなる