「華がある」

あでやかに、たおやかに。
『華』っていう言葉はとても女性的なもの。
男を楽しませてくれるもの。
静かにゆっくりと踊ったり。
美しい着物を着て、しずしずと歩いてみたり。
楽を嗜んでみたり。
それが『華』というもの。
ずっと自分はそう思っていた。
でも、自分の考えは底の浅いものだと思い知らされた。
春日……春日望美という女に出会ってから。
彼女はまったく不可思議な存在だ。
最初に言った言葉にはほとんど当てはまらない。
確かに舞は玄人並みではあるが。
正直艶やか、とか、たおやかという形容にはほど遠い。
細身のだが剣も振るうし、男の前に立とうとする。
己の意志を貫こうと、時には自分にさえも反発する。
しかし同時に。
『華』という言葉は彼女のためにある言葉ではないかと思う。
剣を振るう女性があんなに美しいなんて思ったことがなかった。
彼女の精神はどこまでも清く澄んで、美しい。
彼女が剣を構えたときの、あの空気が静まる一瞬。
敵を射抜くように見つめるその瞳。
その瞬間彼女は『華』になる。
まったく不可思議。
でも彼女は自分にとっての『華』で。
そんな彼女に惹かれてやまない、自分がいる。




望美は華のある子ですよね