大恋愛

「ちちうえちちうえー!!」

ととと、と廊下を走る足音が聞こえる。

「こ、こらっ!廊下は走っちゃいけないっていつも言ってるでしょ!」

その後ろからパタパタと軽い足音も聞こえる。
すぐに足音の主がが誰だか分かったから、おいおい、自分だって走ってるだろ、と苦笑した。
段々その足音が近づいてきて、

「ちちうえ!」

と叫ぶと声の主はオレの背中に体当たりをしてきた。

「おっどうしたんだい、オレの姫君たちは?そんなに息を切らせてさ」

尋ねると腕の中に収めた少女は、あのねあのねと瞳をきらきらと輝かせていて。
何か話したくてしょうがないと言った様子で。

「ご、ごめんなさい、お仕事中邪魔しちゃって」

そう言ったのはオレのもう一人の姫君。
くるくる変わる表情が今は困ったように眉根を寄せている。
でも、その口元には笑みが湛えられていて。
そう、言うなれば「しょうがない子ね」といったところか。

「いやちょうど一段落したところだし、大丈夫さ。それで?お前は何の話があるんだい?」

頭を撫でながらそう問うと、腕の中の少女はにっこり笑って。

「ねぇねぇ、ちちうえたちって『だいれんあい』でケッコンしたってホント?」
「はい?」「は!?」

同時に声を上げるオレたち2人。

「ちょっと、どこでそんな言葉覚えてきたの!?」

と焦って聞き返したのは望美。
すると彼女は母親譲りの輝くような笑みをこちらに向けて。

「えーっとねぇ、おじい様!」

とすっぱりと言い切った。
あー、まあ、十中八九そうじゃないかとは思ってたけど、やっぱりね。
まったく、わけのわかんねぇこと孫に吹き込むんじゃねぇっつの。

「ねぇねぇ、ちちうえ。おじい様が言ってたのは本当のはなし?」

小首をかしげる仕草が望美そっくりで。
あー、オレのお姫様たちは何でこんなに可愛いんだろうね。

「ああ、ホントの話だぜ?」
「ヒ、ヒノエく…っ」「ホント!?」

どちらも大きな瞳がさらに丸くなって零れ落ちそうだ。

「ああ本当さ!……聞きたいか?」

そう言うと。
ちょっとヒノエくん、と制止する声の前に、

「聞きたーい!!」

と可愛らしい声が部屋に響いた。


いいじゃん望美、恥ずかしがるような話でもないだろ?
遙かな時空をお互いのために超えられちゃうくらいの、本当に『大恋愛』だったんだから。




これは……なにEDなんだろう? そしてオリキャラすみません