守りたい

先輩?あなたは分かってないんです。
なぜあなたがそんなに苦しい思いをしてまでこの世界を救わなければならないのか。
あなたはただの女子高生で、ただの春日望美だった。
俺の知っている幼なじみの先輩だった。
なのに。
こっちの世界に来てから先輩は変わった。
いや、来る前から違っていたのかもしれない。
少なくともあの激流に飲まれるまでは、あなたは俺のよく見知った先輩だったのに。
白龍の神子という重い肩書きを背負わされたあなたは。
俺の知らないことを知っていて。
俺の知らない面を見せて。

―まるで……もともとこっちの世界の人間のように―

俺の知らない、顔をして。
そして。
あなただけ、どんどん強くなる。
まるでおいていかれるような焦燥感。
だから弓矢を習い始めた。
強くなりたくて、置いていかれたくなくて。
先輩を、守りたくて。

先輩、あなたは分かっていません。
あなたが戦う必要なんてこれっぽっちもない。
あなたが手を汚す必要は、ない。
だから、守らせてください。
あなたを。
あなたの清さを、ずっとそばで。




譲にとっての望美って全てなんだなぁ、と