本当は。
本当は、あんなことを言いたいのではなかった。
「礼など必要ない」
あんな冷たく突き放したくなどなかった。
礼を言われて不快に思う人間などいるわけがない。
感謝をされて嬉しくないはずなどないのだ。
まして、彼女は私の……。
しかし。
ありがとうございます、と言った彼女の声音に、瞳に、顔に、仕草に。
尊敬だけではない何か別の輝きを見つけてしまったから。
甘い疼きを覚えるようなその輝きは、決して私の思い込みなどではなく。
だからこのままではいけないと、突き放した。
尊敬だけならまだよい。
しかし、それ以上の何かを私に見出そうとしても私はそれに応えることは出来ない。
むしろ、そんなものが彼女の中にあっては彼女のためにならない。
そして、私のためにも。
何度も何度も彼女を死なせてきた。
あれらは私が殺したようなもの。
私が彼女の感情の動きに気づけなかったばかりに。
私などを慕ってしまったばかりに。
だから。
今度こそは。
今度こそ死なせない。
生きて彼女の歩むべき道に返す。
それが私の使命、私の願い。
それがたとえ身を切るような痛さを伴うものだとしても。
本当は、あんなことを言いたいのではなかった。
「礼など必要ない」
あんな冷たく突き放したくなどなかった。
礼を言われて不快に思う人間などいるわけがない。
感謝をされて嬉しくないはずなどないのだ。
まして、彼女は私の……。
しかし。
ありがとうございます、と言った彼女の声音に、瞳に、顔に、仕草に。
尊敬だけではない何か別の輝きを見つけてしまったから。
甘い疼きを覚えるようなその輝きは、決して私の思い込みなどではなく。
だからこのままではいけないと、突き放した。
尊敬だけならまだよい。
しかし、それ以上の何かを私に見出そうとしても私はそれに応えることは出来ない。
むしろ、そんなものが彼女の中にあっては彼女のためにならない。
そして、私のためにも。
何度も何度も彼女を死なせてきた。
あれらは私が殺したようなもの。
私が彼女の感情の動きに気づけなかったばかりに。
私などを慕ってしまったばかりに。
だから。
今度こそは。
今度こそ死なせない。
生きて彼女の歩むべき道に返す。
それが私の使命、私の願い。
それがたとえ身を切るような痛さを伴うものだとしても。
リズ先生はストイックすぎる