「なれない…敦盛さんなしじゃわたしは幸せになんてなれない…」
なんとか声に出したわたしの本心。
もうこぼれる涙さえぬぐおうなんて思わなかった。
それを聞いた敦盛さんは困ったように笑って。
「また、必ず逢える。万物は廻る。私もあなたに再びまみえるためにまた五行の中へと戻る。約束する、またあなたのところに戻ってくると」
< BR> 彼は小指を差し出してきた。
いつだったか敦盛さんにわたしが教えた向こうの世界での約束。
敦盛さんのうそつき。本当はもう逢えないってわかってるのに、優しいあなたはそう言ってわたしをなだめようとする。
その優しさが、でもうれしくてまた目頭が熱くなる。
絡まった小指。
感じる体温。
この人がもうすぐ消えてしまうなんて、考えられない。
でも運命は残酷で。
「ああ、もう別れの時のようだ…」
そう言うと、敦盛さんは寂しそうに笑った。
少しずつ体が薄くなっていく。
「なんで、こんなに早く……!?イヤだ、敦盛さん!」
信じられなくて。
早すぎる別れに心臓がどくどくと脈打つ。
その手を両の指をからめて強く握り返す。
少しでもその消えるスピードを抑えたかった。
「神子……あなたがずっとすきだった」
< BR> 敦盛さんっ。
そんなことこんな状況のときに言わないで。胸が張り裂けそうに痛い。
「わたしだってずっとすきです!!」
敦盛さん、敦盛さん、敦盛さん!
すき、だいすき。人をこんなにすきになることはもうない、確実に。
「敦盛さん、最後にひとつ……ううん、ふたつお願いしていい?」
そう言うと、敦盛さんはいつもの困ったような微笑みを見せてくれた。
ああ、やっぱりわたしは敦盛さんがすきだ。
世界中の誰よりも。
たとえあなたがこの世界から消えても、ずっと。
「ひとつめは…わたしを抱きしめて名前を呼んでください」
そう言うと、敦盛さんは少し驚いた顔をしてその頬を染めた。
「神子……それはふ、ふたつではないのか?」
最後まで律儀な物言いにわたしの心がほっと落ち着く。
「いいじゃないですか。…最後ぐらい、ね?」
少しおどけた言い方をすると、敦盛さんの表情も少し緩んだ。
そっとわたしの体に腕を回して優しく包む。
「…ああ、わ、わかった。……の、望美」
ドキンと胸が大きく鼓動を打つ。
「もう一回」
「…望美」
この人のこの少し照れたような物言いがすき。
「もう一回」
名前を呼ぶ声がすき。
「望美」
優しく包んでくれる腕がすき。
わたしはこの人を…敦盛さんのすべてを愛してる。
そしてわたしは言う。
「…ふたつめのお願いは……敦盛さん、わたしに口づけをください」
勇気を出して言った言葉。
一緒にいた半年間、抱き合ったことはあるがキスをしたことはない。
それでもいいと思っていた。
一緒にいられるなら。
でも。
ことは一刻を争う。
わたしは敦盛さんのことを忘れる気なんてさらさらない、たとえ忘れたくても忘れられない。
いや、わたしは忘れたくなかった。
そう考えた末での言葉。
それを聞いた敦盛さんは顔を真っ赤にして慌てていた。
その様子がおかしくて思わず吹きだしてしまう。
「ふふっ、そんなにうろたえないでくださいよ」
「し、しかしっ…神子…」
こんなときに何を言うのか、とても言いたげなその赤く染まった顔に愛しさがこみ上げてくる。
敦盛さんが戸惑っているのがよく分かる。
でも、傲慢なわたしは自分のことしか今は考えない。
だいすきなあなたを一生この胸に刻んでおくために。
だから、ダメ押しの言葉を口にする。
「こんなときだから、ですよ。わたしに敦盛さんの思い出をください。刻み付けて、忘れられないように」
わたしはそう言うと、目を瞑って上を向いた。
これで敦盛さんは逃げられない。卑怯な手だけど、仕方がない。
こうしてる間にも彼はこの世からいなくなっていっているのだから。
その一言で決意を決めたのか、敦盛さんが息を吸い込む音が聞こえた。
目を開けたくなる衝動に駆られたけど、ここで開けたらすべてがなくなるような気がして目を開けられなかった。
敦盛さんの手が私の肩にかかる。思っていたとおり、低い体温。
ああ、今はわたしの方が高いのか。こんなにドキドキしてるんだもの。
敦盛さんに聞こえちゃいそうなくらい、心臓が飛び跳ねている。
敦盛さんの顔が近づいてくる気配がしたけど、それは口には降りてこず、耳元でささやかれた。
「私はきっと何度廻っても神子以外の人にこのような感情を抱くことはもうないのだろうな」
……あ…。
不意打ちでささやかれたその一言。
せっかく収まってきていたのに。
泣かないでいられると思ったのに。
また、私の中の醜い感情があふれ出す。
「あ…つもり…さっ!…っ、わたしだって…」
あなた以外の人をすきになることはもう絶対ない…。
「神子…愛している。ずっと、永遠に」
そして、最初で最後の長い口付けは淡い光に包まれていた。
敦盛さんの唇は温かくも冷たくもなかった。
ただその感触だけが鮮烈にわたしの体に焼き付いていた。
「神子…また会える。だから泣かないでくれ」
「あ、〜〜っあつもっ…っりさ」
声に嗚咽が混じる。もう何を話したいのかも分からない。
ただ悲しくて、涙が出て、苦しい。
目を開けると、敦盛さんの体は今にも消えるくらい薄くなっていた。
「神子…どうか元気で……よな…ら」
「あつもりさぁぁん!!!!!!!!」
最初で最後のキスは、涙の味がした。
そうして、敦盛さんは消えてしまった。
後に何も残さず、わたしだけを残して。
後に残ったわたしはしばらく消えてしまった空を見つめていた。
キスしてくれた唇に手を当てる。
まだ、敦盛さんの唇の感触が残っている。
「……っ」
そして、敦盛さんの言葉を思い出す。
( 神子……愛している。ずっと、永遠に )
すきだって言ってくれたことは何回もある。でも、愛してるなんて言ってくれたことはなかった。
「…っふ…、ずるいよぉ!!」
言ってくれたことなんてなかったじゃない。
愛してるなんて、言ってくれなかったじゃない。
どうして!?あんなときになってそんなことを言うの!?
あんな不意打ちずるすぎる。
そして、わたしの返事も聞かないで一人で……。
バカバカ…敦盛さんのバカ!!
わたしはどうしたらいいのよ?こんな気持ちを抱えたまま生きてくれって。
私のことは忘れていいってそんなの無理に決まってる。
「無理だよぉ、忘れるなんて……できない」
ねぇ、敦盛さん、わたしたちまた逢えるかなぁ?
逢える…よね?
逢える…逢える……。
…返事、してよぉ……っ!!
あなたがいなくちゃわたしは息もできなくなりそうなの。
こんなに人をすきになれるなんて知らなかった。
もう逢えないなんて信じられない。
今でも呼べば来てくれる気がしてるのに。
いないなんて、逢えないなんて。
考えられないの。
ねぇ、どうしたらいい?
どうしたらわたしは生きられる?
あなた無しで、どうやって?
そんな問いも返事は返ってくることなく空に消えていった。
わたしはきっと、もう二度と恋なんてできないと思う。
なんとか声に出したわたしの本心。
もうこぼれる涙さえぬぐおうなんて思わなかった。
それを聞いた敦盛さんは困ったように笑って。
「また、必ず逢える。万物は廻る。私もあなたに再びまみえるためにまた五行の中へと戻る。約束する、またあなたのところに戻ってくると」
< BR> 彼は小指を差し出してきた。
いつだったか敦盛さんにわたしが教えた向こうの世界での約束。
敦盛さんのうそつき。本当はもう逢えないってわかってるのに、優しいあなたはそう言ってわたしをなだめようとする。
その優しさが、でもうれしくてまた目頭が熱くなる。
絡まった小指。
感じる体温。
この人がもうすぐ消えてしまうなんて、考えられない。
でも運命は残酷で。
「ああ、もう別れの時のようだ…」
そう言うと、敦盛さんは寂しそうに笑った。
少しずつ体が薄くなっていく。
「なんで、こんなに早く……!?イヤだ、敦盛さん!」
信じられなくて。
早すぎる別れに心臓がどくどくと脈打つ。
その手を両の指をからめて強く握り返す。
少しでもその消えるスピードを抑えたかった。
「神子……あなたがずっとすきだった」
< BR> 敦盛さんっ。
そんなことこんな状況のときに言わないで。胸が張り裂けそうに痛い。
「わたしだってずっとすきです!!」
敦盛さん、敦盛さん、敦盛さん!
すき、だいすき。人をこんなにすきになることはもうない、確実に。
「敦盛さん、最後にひとつ……ううん、ふたつお願いしていい?」
そう言うと、敦盛さんはいつもの困ったような微笑みを見せてくれた。
ああ、やっぱりわたしは敦盛さんがすきだ。
世界中の誰よりも。
たとえあなたがこの世界から消えても、ずっと。
「ひとつめは…わたしを抱きしめて名前を呼んでください」
そう言うと、敦盛さんは少し驚いた顔をしてその頬を染めた。
「神子……それはふ、ふたつではないのか?」
最後まで律儀な物言いにわたしの心がほっと落ち着く。
「いいじゃないですか。…最後ぐらい、ね?」
少しおどけた言い方をすると、敦盛さんの表情も少し緩んだ。
そっとわたしの体に腕を回して優しく包む。
「…ああ、わ、わかった。……の、望美」
ドキンと胸が大きく鼓動を打つ。
「もう一回」
「…望美」
この人のこの少し照れたような物言いがすき。
「もう一回」
名前を呼ぶ声がすき。
「望美」
優しく包んでくれる腕がすき。
わたしはこの人を…敦盛さんのすべてを愛してる。
そしてわたしは言う。
「…ふたつめのお願いは……敦盛さん、わたしに口づけをください」
勇気を出して言った言葉。
一緒にいた半年間、抱き合ったことはあるがキスをしたことはない。
それでもいいと思っていた。
一緒にいられるなら。
でも。
ことは一刻を争う。
わたしは敦盛さんのことを忘れる気なんてさらさらない、たとえ忘れたくても忘れられない。
いや、わたしは忘れたくなかった。
そう考えた末での言葉。
それを聞いた敦盛さんは顔を真っ赤にして慌てていた。
その様子がおかしくて思わず吹きだしてしまう。
「ふふっ、そんなにうろたえないでくださいよ」
「し、しかしっ…神子…」
こんなときに何を言うのか、とても言いたげなその赤く染まった顔に愛しさがこみ上げてくる。
敦盛さんが戸惑っているのがよく分かる。
でも、傲慢なわたしは自分のことしか今は考えない。
だいすきなあなたを一生この胸に刻んでおくために。
だから、ダメ押しの言葉を口にする。
「こんなときだから、ですよ。わたしに敦盛さんの思い出をください。刻み付けて、忘れられないように」
わたしはそう言うと、目を瞑って上を向いた。
これで敦盛さんは逃げられない。卑怯な手だけど、仕方がない。
こうしてる間にも彼はこの世からいなくなっていっているのだから。
その一言で決意を決めたのか、敦盛さんが息を吸い込む音が聞こえた。
目を開けたくなる衝動に駆られたけど、ここで開けたらすべてがなくなるような気がして目を開けられなかった。
敦盛さんの手が私の肩にかかる。思っていたとおり、低い体温。
ああ、今はわたしの方が高いのか。こんなにドキドキしてるんだもの。
敦盛さんに聞こえちゃいそうなくらい、心臓が飛び跳ねている。
敦盛さんの顔が近づいてくる気配がしたけど、それは口には降りてこず、耳元でささやかれた。
「私はきっと何度廻っても神子以外の人にこのような感情を抱くことはもうないのだろうな」
……あ…。
不意打ちでささやかれたその一言。
せっかく収まってきていたのに。
泣かないでいられると思ったのに。
また、私の中の醜い感情があふれ出す。
「あ…つもり…さっ!…っ、わたしだって…」
あなた以外の人をすきになることはもう絶対ない…。
「神子…愛している。ずっと、永遠に」
そして、最初で最後の長い口付けは淡い光に包まれていた。
敦盛さんの唇は温かくも冷たくもなかった。
ただその感触だけが鮮烈にわたしの体に焼き付いていた。
「神子…また会える。だから泣かないでくれ」
「あ、〜〜っあつもっ…っりさ」
声に嗚咽が混じる。もう何を話したいのかも分からない。
ただ悲しくて、涙が出て、苦しい。
目を開けると、敦盛さんの体は今にも消えるくらい薄くなっていた。
「神子…どうか元気で……よな…ら」
「あつもりさぁぁん!!!!!!!!」
最初で最後のキスは、涙の味がした。
そうして、敦盛さんは消えてしまった。
後に何も残さず、わたしだけを残して。
後に残ったわたしはしばらく消えてしまった空を見つめていた。
キスしてくれた唇に手を当てる。
まだ、敦盛さんの唇の感触が残っている。
「……っ」
そして、敦盛さんの言葉を思い出す。
( 神子……愛している。ずっと、永遠に )
すきだって言ってくれたことは何回もある。でも、愛してるなんて言ってくれたことはなかった。
「…っふ…、ずるいよぉ!!」
言ってくれたことなんてなかったじゃない。
愛してるなんて、言ってくれなかったじゃない。
どうして!?あんなときになってそんなことを言うの!?
あんな不意打ちずるすぎる。
そして、わたしの返事も聞かないで一人で……。
バカバカ…敦盛さんのバカ!!
わたしはどうしたらいいのよ?こんな気持ちを抱えたまま生きてくれって。
私のことは忘れていいってそんなの無理に決まってる。
「無理だよぉ、忘れるなんて……できない」
ねぇ、敦盛さん、わたしたちまた逢えるかなぁ?
逢える…よね?
逢える…逢える……。
…返事、してよぉ……っ!!
あなたがいなくちゃわたしは息もできなくなりそうなの。
こんなに人をすきになれるなんて知らなかった。
もう逢えないなんて信じられない。
今でも呼べば来てくれる気がしてるのに。
いないなんて、逢えないなんて。
考えられないの。
ねぇ、どうしたらいい?
どうしたらわたしは生きられる?
あなた無しで、どうやって?
そんな問いも返事は返ってくることなく空に消えていった。
わたしはきっと、もう二度と恋なんてできないと思う。
ただ敦盛くんと望美をラヴラヴさせたかっただけ
2005/04/01 composed by Hal Harumiya
2005/04/01 composed by Hal Harumiya