「ひっ……ごめっ…まさっみくっ……」
一旦しゃくりあげるとそれはなかなか収まらないもので。
わたしは将臣くんにポンポンと背を叩かれていた。
「気にするな。お前が泣くなんて珍しいからな」
見上げると将臣くんは視線を前に向けたまま。
泣き顔を見ないようにしてくれていることが嬉しかった。
ざぁざぁと雨の降りしきる音がする。
まるで今のわたしの心を象徴してるみたいだ、と密かに思う。
「…っ……っひ…」
どれくらい時間が経っただろうか。
昼休みの終わりを告げるチャイムも5時間目の始まりを知らせるチャイムも鳴ってしまったようだ。
それでもわたしはそこを動こうとしなかった。
授業なんか1回もサボったことないのに。
でもきっとひどい顔をしていることは予想がつくし、こんな気分で授業なんか受けたくなかった。
「……っ………ふ…」
少しずつまともに呼吸が出来るようになってきた。
「……落ち着いたか?」
優しく問い掛けてくる将臣くんの声。
そんなところは年をとっても全然変わってなくて安心する。
「…うん……。だいぶ落ち着いたよ……。ごめんね、付き合わせちゃって」
申し訳なくてそう言うと、あっけらかんとした返事が返ってきた。
「あー気にすんな。どうせ授業に出てもほとんど忘れちまっているだろうからな」
ニッと笑った将臣くんにわたしは頭を軽く叩かれた。
その感じも妙に懐かしさがあってわたしを安心させた。
「ホントだね。わたしももう数列とかベクトルとか忘れてるよ、確実に」
「だよな。長い間高校生じゃなかったからな、俺達」
その時私たちはお互いに視線を前へ向けた。
ついさっきまでいた世界のことを懐かしむように。
将臣くんを盗み見ると目を細めて口元に穏やかな笑みを浮かべていた。
「ねぇ、将臣くん……。なにも…聞かないの?」
それはさっきからずっと考えていたことで。
自然に声は強張ってしまう。
きっと将臣くんは知りたいに違いない。
でも聞かない。
わたしたちはそんなに気を遣うような仲でもないのに。
そう尋ねると将臣くんは呆れたように溜息を一つ吐いてこう告げた。
「お前なぁ……いくら俺でも泣いてる人間を問い詰めるほど悪趣味じゃねぇよ」
へぇぇ?よく言うよ。
それを聞いて思わず皮肉めいた笑いが込み上げる。
昔わたしが泣いてたとき、
「望美!?何で泣いてんだ!?いじめられたのか?それとも腹が痛ぇのか?おい、泣いてちゃわかんねぇだろ!?ほら、言えよ!」
…とまあ、将臣くんに激しく問い詰められ、揚句揺さ振られて気持ち悪くなった記憶があるんですけど。
その時泣いてた理由っていうのが、都会では珍しいモンシロチョウをせっかく捕まえたのに、それを次の日にはこれまた都会では珍しいカマキリのエサにされたことだったなぁ。
エサにしたのが将臣くんだったから余計に悔しかったんだっけ。
そのことを当の本人に話すと、お前まだ根に持ってやがったのか、と苦笑いされた。
「そりゃ、あん時からもう数年経ってるからな。……学習だってさすがにするだろ」
そうして顔を見合わせて、ぷっと、どちらからともなく笑った。
まるで幼いあの頃に帰ったみたいな感覚にわたしは酔った。
つかの間でも悲しみから開放された。
でも、現実は違う。
笑いが止んで、私たちの周りを沈黙が支配した。
また、沸き上がってくる感情の波。
将臣くんに告げてしまいたい。
ふと、そんな思いが頭をかすめた。
全てを告げて、どうしたらいいのか教えてほしい。
しかし、すぐ理性がそんな考えを打ち消す。
将臣くんに寄り掛かるの?
将臣くんは関係ないのに。
これはわたしの問題なのに。
どこまでわたしは子供なんだろう。
自分の問題にも一人で対処できないの?わたしは。
でも………。
聞いてもらうだけでいい。それだけでずいぶん違う気がする。
どれだけ救いになるか。
( でも、将臣くんの負担になるんだよ……? )
そんなわたしの心の葛藤を見抜いたかは知らないが、将臣くんはまたわたしの頭をポンと軽く叩いて、
「なにか悩んでるだろ?話したら楽になるかもしれないぜ?ま、無理にとはいわねぇけどな」
と笑った。
やっぱり将臣くんはわたしの幼なじみだ。
なにが一番わたしに必要かわかってる口調。
わたしは全てを将臣くんに話した。
向こうでの生活が幸せで満ち足りていたこと。
敦盛さんを本気ですきだったこと。
それなのにわたしの目の前で消えてしまったこと。
どうしていいかわからなくなったこと。
朔にこっちに帰りなさいと言われたこと。
龍神が出て来てこっちに飛ばされて……。
また敦盛さんに逢った。
生まれ変わって、記憶を無くした敦盛さんに。
そのすべてを将臣くんに話した。
わたしが喋っている間、将臣くんは一言も喋らなかった。
ただ黙ってわたしの語る思い出を静かに聞いていた。
「それで……お前はどうしたいんだ?」
不意に訪ねられた言葉。
さっきからずっと考えているのになにも思い浮かばない。
わたしはどうしたいんだろう。
何を望んでるの?
それもわからない。
「…わ……たしは……」
その先の言葉が見つからない。
「……お前こっちで敦盛に逢ってどう思った?」
溜息交じりの言葉。
ど、どうって言われても…。
「最初は信じられなくて、嬉しかった。けど敦盛さんには記憶がなくて……。忘れられちゃったと思うとすごく苦しくて」
つらかった。
思ったとおりの言葉を口に出す。
「それで……泣いてたわけか……」
もう一度軽く頭をポンと叩かれる。
「お前らしくねぇなあ……。」
その呆れが混じった言葉にバッと顔を上げると将臣くんは壮大な溜息をついた。
「…っ!……そんなこと言ったって……」
「バーカ、何うじうじ悩んでんだよ。なんでも諦めないのがお前のモットーだろうが」
そう言って将臣くんは苦笑した。
不意に立ち上がり、雨脚の強い空を眺めて、つぶやいた。
「おんなじ顔、おんなじ声、おんなじ仕草……。」
「?将臣くん…?」
急にとんだ話にわたしはついていけない。
おんなじ……?
将臣くんがいつもの調子のいい口調で言う。
「そいつになくて向こうの敦盛が持っていたものってなんだかわかるか?」
いきなりそう聞かれて答えに詰まる。
敦盛さんが持っていて、こっちの敦盛さんが持っていないもの……?
「きおくだよ、記憶」
しびれを切らしたように告げる。
「思い出させてやればいいんじゃねぇの?昔の記憶をさ」
両手を頭の後ろにやって、あっさりと将臣くんは言った。
その一言が波紋のように心に広がる。
思い出させる…?敦盛さんの記憶を取り戻すってこと!?
そんなの……!
「そんなの無理だよ!!生まれ変わる前の記憶なんて戻るわけないじゃない!!」
「だからって諦めるのかっ!?やってもみねぇで!?」
瞬間、その顔に激しい怒りが浮かぶ。
突然荒くなった将臣くんの声にわたしは思わず身を竦ませた。
しかしそれも一瞬で。
はっと我に帰るとバツのわるそうな顔になった。
「……わりぃ。ビビらすつもりじゃなかったんだ」
あんなに激しい怒りを将臣くんが見せるのは本当に珍しいことで。
わたしは茫然と将臣くんを見つめていた。
「……まあ、確かにかなり無理のある考え方だってのは、俺もそう思う。うまくいくかもわからねぇ。けど、もしかしたらってこともある」
将臣くんは眉根をきつく寄せて言葉を選んでいた。
彼も寂しいのだろうか?敦盛さんの記憶が失われていたことが。
…同じ一門の人間としての記憶を、持たないということが。
取り戻したいと、そう願っているのか。
わたしのように。
「もしかしたら……何かのきっかけで思い出すかもしれない…だろ?あいつはお前の八葉だったんだぜ?」
八葉と神子は惹き合う、ものだろ?
そう問いかける将臣くんの視線はどこか寂しそうだった。
そうだ、八葉と神子は繋がっている。
それがたとえ時代を超えても、八葉の任を解かれても。
たとえ、陰に一度隠れ、再び生を享けたのだとしても。
その根を成す魂が記憶しているのならば。
「…そう……だ…ね…。敦盛さんは、わたしの、八葉……」
口にして、その思いを形に成す。
魂が不変ならば、忘れはしない。決して。
何の確証も真理もない。ただの推測。
けれど、少しでもすがれるものがあるなら。
悲しみを希望と変えることができるのならば。
「……うん。敦盛さんに記憶を取り戻させたい」
わたしは諦めたりしない。絶対に。
この日、わたしは新たな誓いを胸に刻んだ。
おまけ
「ありがと、将臣くん、発破かけてくれて。わたし、諦めないから」
「……そうだな。それでこそ、望美だな。諦めの悪さなら天下一品の」
「なにそれ!?……まあ、当たってるから怒れないけどさー」
「だろ?…くっくっ……自覚済みだろうからな、しょうがねぇよ」
「はいはい。そういえば、将臣くん、何でこっちに帰ってきたの?恩を返すって話は?」
「いやー、向こうもひと段落したしな。龍神にどうするか聞かれて、帰るって言ってきちまった」
「ふふっ……なにそれ。じゃもう大丈夫なんだね?」
「ああ、悪いな、心配かけちまって。もう、あいつらも何とかやってくだろ」
「そっか。将臣くんがそういうならきっと大丈夫だよ。……わたしもがんばんないと」
「そうだな。ま、がんばれよ。話くらいは聞いてやれるぜ?」
「うん、まかせて!」
(絶対、思い出させてみせる)
一旦しゃくりあげるとそれはなかなか収まらないもので。
わたしは将臣くんにポンポンと背を叩かれていた。
「気にするな。お前が泣くなんて珍しいからな」
見上げると将臣くんは視線を前に向けたまま。
泣き顔を見ないようにしてくれていることが嬉しかった。
ざぁざぁと雨の降りしきる音がする。
まるで今のわたしの心を象徴してるみたいだ、と密かに思う。
「…っ……っひ…」
どれくらい時間が経っただろうか。
昼休みの終わりを告げるチャイムも5時間目の始まりを知らせるチャイムも鳴ってしまったようだ。
それでもわたしはそこを動こうとしなかった。
授業なんか1回もサボったことないのに。
でもきっとひどい顔をしていることは予想がつくし、こんな気分で授業なんか受けたくなかった。
「……っ………ふ…」
少しずつまともに呼吸が出来るようになってきた。
「……落ち着いたか?」
優しく問い掛けてくる将臣くんの声。
そんなところは年をとっても全然変わってなくて安心する。
「…うん……。だいぶ落ち着いたよ……。ごめんね、付き合わせちゃって」
申し訳なくてそう言うと、あっけらかんとした返事が返ってきた。
「あー気にすんな。どうせ授業に出てもほとんど忘れちまっているだろうからな」
ニッと笑った将臣くんにわたしは頭を軽く叩かれた。
その感じも妙に懐かしさがあってわたしを安心させた。
「ホントだね。わたしももう数列とかベクトルとか忘れてるよ、確実に」
「だよな。長い間高校生じゃなかったからな、俺達」
その時私たちはお互いに視線を前へ向けた。
ついさっきまでいた世界のことを懐かしむように。
将臣くんを盗み見ると目を細めて口元に穏やかな笑みを浮かべていた。
「ねぇ、将臣くん……。なにも…聞かないの?」
それはさっきからずっと考えていたことで。
自然に声は強張ってしまう。
きっと将臣くんは知りたいに違いない。
でも聞かない。
わたしたちはそんなに気を遣うような仲でもないのに。
そう尋ねると将臣くんは呆れたように溜息を一つ吐いてこう告げた。
「お前なぁ……いくら俺でも泣いてる人間を問い詰めるほど悪趣味じゃねぇよ」
へぇぇ?よく言うよ。
それを聞いて思わず皮肉めいた笑いが込み上げる。
昔わたしが泣いてたとき、
「望美!?何で泣いてんだ!?いじめられたのか?それとも腹が痛ぇのか?おい、泣いてちゃわかんねぇだろ!?ほら、言えよ!」
…とまあ、将臣くんに激しく問い詰められ、揚句揺さ振られて気持ち悪くなった記憶があるんですけど。
その時泣いてた理由っていうのが、都会では珍しいモンシロチョウをせっかく捕まえたのに、それを次の日にはこれまた都会では珍しいカマキリのエサにされたことだったなぁ。
エサにしたのが将臣くんだったから余計に悔しかったんだっけ。
そのことを当の本人に話すと、お前まだ根に持ってやがったのか、と苦笑いされた。
「そりゃ、あん時からもう数年経ってるからな。……学習だってさすがにするだろ」
そうして顔を見合わせて、ぷっと、どちらからともなく笑った。
まるで幼いあの頃に帰ったみたいな感覚にわたしは酔った。
つかの間でも悲しみから開放された。
でも、現実は違う。
笑いが止んで、私たちの周りを沈黙が支配した。
また、沸き上がってくる感情の波。
将臣くんに告げてしまいたい。
ふと、そんな思いが頭をかすめた。
全てを告げて、どうしたらいいのか教えてほしい。
しかし、すぐ理性がそんな考えを打ち消す。
将臣くんに寄り掛かるの?
将臣くんは関係ないのに。
これはわたしの問題なのに。
どこまでわたしは子供なんだろう。
自分の問題にも一人で対処できないの?わたしは。
でも………。
聞いてもらうだけでいい。それだけでずいぶん違う気がする。
どれだけ救いになるか。
( でも、将臣くんの負担になるんだよ……? )
そんなわたしの心の葛藤を見抜いたかは知らないが、将臣くんはまたわたしの頭をポンと軽く叩いて、
「なにか悩んでるだろ?話したら楽になるかもしれないぜ?ま、無理にとはいわねぇけどな」
と笑った。
やっぱり将臣くんはわたしの幼なじみだ。
なにが一番わたしに必要かわかってる口調。
わたしは全てを将臣くんに話した。
向こうでの生活が幸せで満ち足りていたこと。
敦盛さんを本気ですきだったこと。
それなのにわたしの目の前で消えてしまったこと。
どうしていいかわからなくなったこと。
朔にこっちに帰りなさいと言われたこと。
龍神が出て来てこっちに飛ばされて……。
また敦盛さんに逢った。
生まれ変わって、記憶を無くした敦盛さんに。
そのすべてを将臣くんに話した。
わたしが喋っている間、将臣くんは一言も喋らなかった。
ただ黙ってわたしの語る思い出を静かに聞いていた。
「それで……お前はどうしたいんだ?」
不意に訪ねられた言葉。
さっきからずっと考えているのになにも思い浮かばない。
わたしはどうしたいんだろう。
何を望んでるの?
それもわからない。
「…わ……たしは……」
その先の言葉が見つからない。
「……お前こっちで敦盛に逢ってどう思った?」
溜息交じりの言葉。
ど、どうって言われても…。
「最初は信じられなくて、嬉しかった。けど敦盛さんには記憶がなくて……。忘れられちゃったと思うとすごく苦しくて」
つらかった。
思ったとおりの言葉を口に出す。
「それで……泣いてたわけか……」
もう一度軽く頭をポンと叩かれる。
「お前らしくねぇなあ……。」
その呆れが混じった言葉にバッと顔を上げると将臣くんは壮大な溜息をついた。
「…っ!……そんなこと言ったって……」
「バーカ、何うじうじ悩んでんだよ。なんでも諦めないのがお前のモットーだろうが」
そう言って将臣くんは苦笑した。
不意に立ち上がり、雨脚の強い空を眺めて、つぶやいた。
「おんなじ顔、おんなじ声、おんなじ仕草……。」
「?将臣くん…?」
急にとんだ話にわたしはついていけない。
おんなじ……?
将臣くんがいつもの調子のいい口調で言う。
「そいつになくて向こうの敦盛が持っていたものってなんだかわかるか?」
いきなりそう聞かれて答えに詰まる。
敦盛さんが持っていて、こっちの敦盛さんが持っていないもの……?
「きおくだよ、記憶」
しびれを切らしたように告げる。
「思い出させてやればいいんじゃねぇの?昔の記憶をさ」
両手を頭の後ろにやって、あっさりと将臣くんは言った。
その一言が波紋のように心に広がる。
思い出させる…?敦盛さんの記憶を取り戻すってこと!?
そんなの……!
「そんなの無理だよ!!生まれ変わる前の記憶なんて戻るわけないじゃない!!」
「だからって諦めるのかっ!?やってもみねぇで!?」
瞬間、その顔に激しい怒りが浮かぶ。
突然荒くなった将臣くんの声にわたしは思わず身を竦ませた。
しかしそれも一瞬で。
はっと我に帰るとバツのわるそうな顔になった。
「……わりぃ。ビビらすつもりじゃなかったんだ」
あんなに激しい怒りを将臣くんが見せるのは本当に珍しいことで。
わたしは茫然と将臣くんを見つめていた。
「……まあ、確かにかなり無理のある考え方だってのは、俺もそう思う。うまくいくかもわからねぇ。けど、もしかしたらってこともある」
将臣くんは眉根をきつく寄せて言葉を選んでいた。
彼も寂しいのだろうか?敦盛さんの記憶が失われていたことが。
…同じ一門の人間としての記憶を、持たないということが。
取り戻したいと、そう願っているのか。
わたしのように。
「もしかしたら……何かのきっかけで思い出すかもしれない…だろ?あいつはお前の八葉だったんだぜ?」
八葉と神子は惹き合う、ものだろ?
そう問いかける将臣くんの視線はどこか寂しそうだった。
そうだ、八葉と神子は繋がっている。
それがたとえ時代を超えても、八葉の任を解かれても。
たとえ、陰に一度隠れ、再び生を享けたのだとしても。
その根を成す魂が記憶しているのならば。
「…そう……だ…ね…。敦盛さんは、わたしの、八葉……」
口にして、その思いを形に成す。
魂が不変ならば、忘れはしない。決して。
何の確証も真理もない。ただの推測。
けれど、少しでもすがれるものがあるなら。
悲しみを希望と変えることができるのならば。
「……うん。敦盛さんに記憶を取り戻させたい」
わたしは諦めたりしない。絶対に。
この日、わたしは新たな誓いを胸に刻んだ。
おまけ
「ありがと、将臣くん、発破かけてくれて。わたし、諦めないから」
「……そうだな。それでこそ、望美だな。諦めの悪さなら天下一品の」
「なにそれ!?……まあ、当たってるから怒れないけどさー」
「だろ?…くっくっ……自覚済みだろうからな、しょうがねぇよ」
「はいはい。そういえば、将臣くん、何でこっちに帰ってきたの?恩を返すって話は?」
「いやー、向こうもひと段落したしな。龍神にどうするか聞かれて、帰るって言ってきちまった」
「ふふっ……なにそれ。じゃもう大丈夫なんだね?」
「ああ、悪いな、心配かけちまって。もう、あいつらも何とかやってくだろ」
「そっか。将臣くんがそういうならきっと大丈夫だよ。……わたしもがんばんないと」
「そうだな。ま、がんばれよ。話くらいは聞いてやれるぜ?」
「うん、まかせて!」
(絶対、思い出させてみせる)
次こそはあつのぞです(予定)
2005/10/02 composed by Hal Harumiya
2005/10/02 composed by Hal Harumiya